Make: Tokyo Meeting 02 での予想外の事

Make: Tokyo Meeting 02


先日(11/08)の MTM02(Make: Tokyo Meeging) は予定通り見学者として参加してきました。

ascii.jpで記事が写真や動画をのせた記事が掲載されています(ASCII.jp:初音ミクを3次元で動かす──Make: Tokyo Meeting 02 (1/2))し、YouTubeにも動画が沢山投稿されていますので、興味のある人は、こんな所読んでないでそちらへGO!です。 以降は私の個人的な感想ですし、長文なので、読んでもつまらないですよ。

ニコ厨の私としてはニコニコ技術部展示も当然大きかったわけですが、他にもYouTubeニコニコ動画やMake blogなどで見たことのある楽しげなアイテムの実物であったり、知らなかったけどスゲェ、なアイテムなどが所狭しと並べられていて、そのうえ、スケジュールがみっちり埋まったプレゼンテーションやワークショップが並列で走っていたので、本当に密度が高いイベントでした。

プレゼンテーションの内容も、野尻先生の、SF作家らしい夢のある話に始まり、各展示出展者自らによる苦労話であったり、フィジカルコンピューティングオープンソースハードウェアをテーマにした対談など、脳味噌を刺激されるような話で一杯でした。(オープンソースハードウェアに関してはひとこと物申したい事があるのですが、今回のエントリを書くのに疲れたので、後日ひっそりと書くことにしましょう。)

あえて難点をあげるなら、本当に密度が高すぎて、体が1つでは足りなかった所でしょうか。

あ、あと、人が多すぎて動けないぐらい非常に大盛況だったため、展示をしている人も休む暇も無いようでしたし、そういう状況なので、適当な人をつかまえて話し込む、といったことがあまり出来なかったのは心残りではあります。

その意味では、今ひとつアクセスの良くない会場だったのは、ある程度の情熱を持った人のみを通すフィルタになっていて、良かったのかもしれませんね。

と、ここまで、参加してみての雑感を書いてみたわけですが、上記の話は参加する前にもある程度わかっていたこと、というか、期待していた事で、実際期待通りだったわけです。

一方で、今回MTM02に参加してみて、予想外だった事も幾つかありました。もちろん良い意味で、です。

以下は、それらの「嬉しい予想外」を列挙したものです。

多彩な展示

正直なところ、スケジュールが公開されるまでは、けっこう画一的な内容なんじゃないかなと、漠然と想像していました。

これが、本家 Maker Fair であれば、作業用ガレージを持ってるような人が沢山いて、巨大な物体がガッチョンガッチョン動くような物でも展示されるんでしょう。私は行ったことは無いですが、そういう偏見(?)があります。

ですが、これは Tokyo Meeting です。日本人がやることなので、展示物は電子工作然とした机上に収まる小物が大半だと思っていました。

ところが蓋をあけてみると、手作りの戦車だとかプラネタリウムだとかの大物もありましたし、テーブルに乗ってはいても、テスラコイルが何機も並んでいたり、4ビット同士の全加算器をピンポン玉大のボールで物理的に実装した物など、結構大掛かりな物がありました。

また、電気の絡まない完全な手芸の展示があったり(「電気の絡む手芸」のLilyPad Arduinoなんてのもありました)、手作りのつまみ(回転ボリュームの指でつまんで回す所ですね)の販売なんてのもありました。さらには、「新しい折り鶴のすすめ」なんてのまで。

確かに、ここまでカオスなイベントはMakeじゃないとありえないような気がします。

思ったよりも若い?

これまた偏見なんですが、電子工作が個人の趣味としての地位を下げてから随分と月日が流れており、このようなイベントに参加するのはオッサンばかり、だと思っておりました。基本、30代から、と。(←本当に失礼な話ですが)

が、実際行ってみると、(まぁ、ニコニコ技術部目当てな人は幾分差し引くとしても、)高校〜大学生ぐらいのひとがそこそこ参加されてました。それも、聴講者側ではなく、発表者として出ていたりして。

まぁ、自分が年を取ったんだなぁ、と若干ヘコみ気味な面もありましたが(笑)、日本の若手世代もまだまだ捨てたモンじゃないなと感じました。

見学者の中にいる予備軍

今回は、半年前に行なわれた前回の Make: Tokyo Meeting 01 にくらべて、2倍以上の出展数だったそうです。前回から続けて参加されている方もいらっしゃいますが、半分以上は新規参加なわけです。その中には、前回は見学で参加した人や、前回が終わった後にイベントの事を知って悔しい思いをした人もいたことでしょう。

イベントの効能は、一般に、その場に関った全て人の士気を高めることにあります。つまり、MTMならば「もの作りの創作意欲」を刺激するということです。今回、見学参加者は前回の3倍だそうですが、その中の一部は確実に次回の出展者の予備軍だと思われます。

確かに、単に野次馬として参加した人もいるでしょうが、わざわざこんな良くわからないイベント(←だから一々失礼ですって)に足を運んでるんですから、脈はアリですよね。

会場で先行販売していた新刊の「Make Things Talk」が昼過ぎにはあっさり完売していた事を見るにつけ、まだ炎上するに至っていない燻った火種は沢山あったのだろうと再認識した次第です。 (くそー、買い逃した。鞄が小さかったから、帰り際に買おうと思ってたのに……。)

目立つ野尻先生

冒頭の方でちらっと触れましたが、プレゼンテーションセッションのトップバッターは、SF作家の野尻抱介先生でした。野尻先生はこのテのお祭りの常連で、米国の本家Make Faireにも参加されているようです。

もちろん前回のMTM01にも参加されていて、他の一般の参加者がブログなどで「先生をみかけたよー」と写真を載せているのを幾つか目にしました。私はそれらのブログを見て、「よくめざとく見付けてくるなぁ」なんて思ってたんですが、今回MTM02に参加してみてわかりました。先生、とっても目立ってます。

確かに、体の大きな人なのでそれだけで目立つ、というのはあります。ですが、もちろんそれだけではなく、色々なことをする人なんですね。まず、プレゼンテーションセッションのトップバッターとして発表されてますので、それを見た人はセッションの内容とあわせて顔と名前は覚えてしまいます。で、その後、会場をふらついていると、面白げなアイテムを体験している先生の姿をちらほら目撃するわけです。

私は今回、自転車のホイール?を使ったジャイロ効果体験の屋外展示を体験中の先生をみかけました。もう、それはそれは楽しそうに体験されていて、すぐに人が集まってきます。そうしたら先生は「はい、交代ね」と、近くの人をつかまえて自転車ホイールを手渡すのです。

このような体験型の展示は、手にとるまでが意外とハードルが高く、さびしい状況になりがちなのですが、先生のように率先して参加してくれる方がいると一転して大盛況になることもあります。先生が意識してやられていることなのかどうかはわかりませんが、なかなか誰にでも出来ることではないでしょう。大盛況だったニコニコ技術部の展示も、とりまとめを行なった野尻先生(技術部的には「尻P」)や、不在通知Pのご尽力あってのことですしね。(ニコニコ技術部のブースで来場者に振る舞われていたドーナツやコーヒーも言い出しっぺは先生のようです*。)

まったく、なんと言えば良いんでしょうか。「出来る人」というか、「良く出来た方」というか。Andrew Mortonのような人なんだな、とか思いました。(←非常にわかりにくい例えなんですが、個人的には結構、的を射ていると思ってます。)

まとめ - 次回も楽しみです

個人的には、Makeのイベントは、はっきり言って日本では流行りにくいだろうと思っていました。典型的な日本人はシャイで、自分から前に出ていくような事はしないものです。わざわざ渡米して Make Faire に参加するような物好き(笑)は別にして、そんなに沢山の参加者が集まるのだろうか、と。

実際には既報の通り多彩な展示が集り、イベントとしては大盛況だったわけですが、本当の試金石となるのは、来年春開催予定の MTM03 でしょう。今回これだけの成功を収めた結果、今回の来場者の中から次回の出展者が沢山出て、さらなる発展を遂げるのか、それとも、今回の成功で出すものは出てしまい、燃え尽きてしまうのか。

今から次回が待ち遠しくてたまりません。