誰がLinuxを作っているのか
OpenTechPressに次のような記事が上がっていました。
http://opentechpress.jp/opensource/article.pl?sid=08/04/14/023226&pagenum=1
詳細は記事の方を読んでもらうとして、要点は「Linux Foundation は企業からの金銭的な支援を受けているせいで、カーネル開発が企業の欲しがるサーバー用途の拡張にばかり向かっている。これではLinuxの将来が不安だ。」ということなのでしょう。
もちろん、Linux Foundationの金銭的な支援の影響力もあるでしょうが、どちらかというと金銭的なものよりは「人的な」支援の方が、影響が大きいのではないでしょうか。
ここに、MIRACLE LINUX の方が書いた、こんな記事があります。
http://blog.miraclelinux.com/yume/2007/06/who_wrote_2620__4b18.html
こちらの記事によると、
電子メールのアドレスを元に所属している会社を計測した。例えばメールアドレスがibm.comであればIBMの社員と考えた。それによると、不明 1244 (25.0%)、 Red Hat 636 (12.8%)、 なし 383 (7.7%)、 IBM 368 (7.4%)、 Novell 295 (5.9%)、以下 Linux Foundation/Intel/Oracle/Google、日本企業はMiracle Linuxの18位で43 (0.9%)である。不明というのは、所属企業が不明だったもの、なしというのは純粋に自分の時間を利用して開発していたと思われるものである。
つまり、Linux kernel の 2.6.19 から 2.6.20 の間に加えられた変更の、実に4分の1が RedHat と IBM と Novell によって為されているのです。
それに対し、明確に「フリーランス」な開発者だったのは 7% で、これと、所属がはっきりしなかった 25% を除いた残りは殆ど、どこかの会社の人ということになります。
ふと気になったので、これの元記事の新しいバージョンも参照してみました。
2.6.20の時と比較すると、不明(Unknown)の割合が 25% から 19% に減少していますので、その分、企業票が増えたと言えます。トップの3社である、Intel, IBM, Novel の割合は殆ど変わっていません。その一方で、以前から2番手グループにいた Intel に加えて、 Renesas や MIPS などの CPUメーカーが躍進しています。これらはもちろん、自社の石でLinuxを動かすための改変が主なのでしょう。
こうやって見ると、最近のLinux kernelの開発は、
が活発だと言えそうですね。
P.S.
誤解して欲くないのですが、Red Hat 名義だからといって、別にサーバーのための機能だとは限りません。例えば、Fedoraのディストリビューションで見つかったバグの一部はRedHatの社員が修正を作成して投稿しているでしょう。企業も持ちつ持たれつで動いているはずです。
なので、別に営利企業が悪いと言っているのではなく、単に「Linuxはそんな不思議なバランスで回っているっぽいよ」という程度に捉えて下さい。