記事を整形しているうちに意味が変わる恐怖

asahi.comで「iPod課金を検討で同意」と誤報したらしい。

『また「アサヒる」したのか』というのは簡単ですが、そのまえに、なんでこんな記事が出来上がってしまったのか想像してみると、ちょっと面白いかもしれません。

朝日新聞のWeb版「asahi.com」は1月17日付で、同日開かれた文化審議会著作権分科会の私的録音録画小委員会が「iPodやHDD内蔵DVDレコーダーに補償金を上乗せすることを2月以降検討することで合意した」と報じた。
これに対し、小委員会を担当する文化庁の川瀬真・著作物流通推進室長は「事実に反する報道で、記事を書いた記者に抗議した」と報道内容を否定した。
ITmedia記者が冒頭から最後まで傍聴した限りでは、この日の小委員会ではそういった議論や合意はなかった。
今期の小委員会は1月23日で終了するが、今後については23日に議論する予定。文化庁は「小委員会を来期も開くかどうかを含め、今後の予定は決まっていない」としている。

asahi.com「iPod課金検討」報道、文化庁「事実に反する」と抗議 - ITmedia NEWS

おそらく、この記事を書いた人にとっては、記事の中に「iPod課金」の話題を盛り込むことが既定路線だったでしょう。特にインターネットの記事の場合、タイトルに「iPod」の文字があるかどうかでページビューが天と地ほどの差があるので、なんとかして入れたいところです。

ところが、今回の小委員会ではこの問題について議論がされず、おそらく「iPod課金うんぬんに関してはとりあえず今期の小委員会では扱わないことにしましょう。いいですよね?」ぐらいの文言がちらっとあっただけだったのでしょう。

で、それを受けて、記者が「iPod課金問題は今期の小委員会では取り扱わないと合意」→「iPos課金問題は(今期の小委員会が終わった後の)2月以降検討することで合意」と脳内変換を経由したのち、さらに、「iPod課金問題」の単語をきちんと書き下して→「iPodやHDD内蔵DVDレコーダーに補償金を上乗せすることを2月以降検討することで合意した」となったんじゃないかと思うのです。

つまり、単純に文章をいじくって整形しているうちに、文章のニュアンスが変化してしまったんじゃないかと。記者としては、「iPod課金問題はこの小委員会では扱われませんでした」程度のことを、新聞調に書き直しただけ、ぐらいのつもりだったのかもしれません。


朝日新聞の記者を擁護する文章を書くつもりが、「この記者はあほの子」という結論になってしまいました……。ってことは、少なくとも、私はあほの子のようです。